私はどうやって怒り狂う自分を治めたか

読了まで:約7分


最近では Fediverse などで交流のある @Windymelt さんがご自身のブログで、

と言う記事を書いていて、この中で、

自分の機嫌を取らないとなと思うことが最近たてつづけにあった。 仕事のコードの機嫌が悪くて自分の機嫌も悪くなり怒り狂っていたり、 Apple Music の動作が不安定すぎてストレスを感じていたり。 当たり前と思っていることが当たり前に動作しないと人間はすさまじいストレスを感じるものだ。

と言う事を述べていました。

んでこのブログ記事を見て、

(あんまり思い出したくもないけど)自分もかつて事ある毎に癇癪を起して暴れたりしてたなー

と言う事を思い出したりしてたんですが、今の自分はこの辺りをそこそこには克服できていて、 かつこのノウハウ……って言ったら変ですが、どうやって克服して行ったか、と言うのを記事にしてまとめておくと、 彼も含めて誰かの役に立つかもしれない……と言う意味で上記記事への返答みたいな事を書きたいと思います。

ちなみに先に話の内容をまとめておくとこんな感じです:

  1. とにかく『これ以上は怒り狂わないと決心』する
  2. 何に対しても『期待』をしたり『希望』を求めないようにする
  3. uBlock Origin などを駆使して苛立ちの元を非可視化しまくる

1. これ以上は怒り狂わないと決心する

まず最初に一番大切なこととして上げられるのは、

とにかく『もうこれ以上は怒り狂わないようにすると強く決心』する

です。

まぁいきなり精神論かよ……と思われるかもしれませんが、 私みたいに 一度決心しないと先に進まない と言うタイプの人間は、 これが出来ないと怒り狂う事をおそらく止めることは出来ません。

また次に大事なことですが、 人間は 一度も心から納得していない事に対して行動を改めることが出来ません 。 これはたとえ同僚や友人・知人からのアドバイスや忠告でも同じことだと思いますが、そう言うアドバイスや忠告を受けても、

あー、そうだな。次からは気を付けるか……

と言う軽い程度の決心ではたぶんその行動はコントロールできないでしょう。

特に『怒り』と言う感情は人間の感情の中でもかなり強い部類に入りますし、 対人で怒り狂うことをしなくなった自分でさえも、不特定多数の集団に対する怒りについては克服できてないので、 そう言った意味でも『怒り』と言う感情のコントロールは甘くみない方が良いと私は思います。

2. 何に対しても『期待』や『希望』をしない

次は具体的な精神論です。

まずこれは自己の経験と自己観察から気がついたことですが、人間と言う生き物はどうも、

自分の期待や希望『悪い意味(ネガティブな方向)』で裏切られる

と言う場面に出会すと怒り出すみたいです。

これは例えば @windymelt さんの記事から引くと、

  • 業務で書いたコードが上手く動かない(動くと期待したものが動かない)
  • Apple Music が不安定(安定して動くことを期待したのに動かない)
  • ネットで人々の負の側面がキツい(見たくない希望があるのに叶わない)

と言った辺りです。

それで人々の怒りの元凶である、

自分の期待や希望『悪い意味(ネガティブな方向)』で裏切られる

の解決策を分けると、大きく分けてこの二つになります:

  1. 悪い意味(ネガティブな方向)で裏切られる場面を削る
  2. そもそも自分の中に期待や希望を持たない

その上で言うと、まず (1) に関してはある程度閉じた小さな世界でなら未だなんとかなる解決策です。 と言うも狭い世界では自身を含めた怒りに関連する因子が少ないため、 この小さな世界では怒りの原因である悪い意味(ネガティブな方向)での裏切りを削りやすいと言えます。

ただ上記 (1) と言う解決策は、関連する因子が多い広い世界ではこれは通用しません。 と言うのも怒りを惹起させる因子の多い広い世界では、それらをコントロール下に置くことはそもそも不可能で、 それをなんとかしようとすると莫大なエネルギー・労力が必要になります。

となると現実的に取れる対策で、かつ狭い世界、広い世界の両面で通用する方法論としては (2) の、

そもそも 自分の中に一切の期待や希望を持たない

と言う解決策になります。

そしてこれはどう言う解決方法かと言うと、先にも述べた通り、人々が怒りの感情を持つ理由としては、

自分の期待や希望『悪い意味(ネガティブな方向)』で裏切られる

と言うところにあります。そして 『悪い意味(ネガティブな方向)』で裏切られる と言う結果が生じるのは、 結局のところ 自分の中に期待や希望がある と言う事に起因するので、 そこを止めてしまえば 『悪い意味(ネガティブな方向)』で裏切られる と言う結果は出てくる余地が無くなります。

そしてこの事は結論から言ってしまうと、

自分の中に 『期待』や『希望』『積極的』に持たない 事を 選択する

と言う事をやってしまえば良い訳で、 私としてはこの方法で怒りの元を止む方向で怒り狂うことへ対処しました。

ただしこれは誰でも真似できることではない(たぶん悟りの一種を修得することです)し、 これはこれで副作用もある(具体的には野心とか野望と言う意思が枯れる)ため、 万人にオススメできる方法ではありません。

特に 野心とか野望と言う意思が枯れる副作用 についてはスタートアップの CEO だとか、 あるいは情熱を注いでプロダクトを仕上げるプロダクトマネージャなどの地位にある人がやってしまうと、 間違いなく仕事に差障りがあるので、そう言う方達はこの方法を取らない方が懸命だと思います。

3. uBlock Origin や UserScript で不快の元を消す

最期にテクノロジーと言う文明で対処する方法について。

まず私や @Windymelt さんは Web エンジニアです(私はまだプロとしてはひよっこですが)。 となれば Web で見る不愉快な物は Web 技術を使って消しさってしまえば多少マシにはなります。 そして具体的に使うのはこれです:

まぁ業務でこれを使ってしまうと挙動確認が出来なくなってしまうため常用は厳しみがありますが、 少なくともプライベートの範囲で使う分には問題無いと思います。

それで私の具体例を出すと、私はかつて Twitter を使っていた頃(今は gotosocial を使っている)、 自分の精神衛生のために不用意な不快情報へのアクセス経路を断つため、こう言うブロックルールを使っていました(今も使っています):

! 2022-06-06 https://twitter.com
twitter.com##a[data-testid="AppTabBar_Home_Link"]
twitter.com##a[data-testid="AppTabBar_Explore_Link"]
twitter.com##a[href="/i/bookmarks"]
twitter.com##div[data-testid="sidebarColumn"] section[role="region"]
twitter.com##div[data-testid="app-bar-back"]
twitter.com##h1[role="heading"]
twitter.com##a[href="/kalaclista/lists"]

さらに私は不用意に Twitter で不快情報へのアクセスを防ぐため、こんな UserScript も作って運用しています:

// ==UserScript==
// @name        No more TL
// @namespace   https://the.kalaclista.com/
// @match       https://twitter.com/*
// @match       https://mobile.twitter.com/*
// @grant       GM_getValue
// @version     2.6
// @author      OKAMURA Naoki aka nyarla <[email protected]>
// @inject-into content
// ==/UserScript==
const patterns = GM_getValue("patterns");
const redirect = GM_getValue("redirect");
function match(href) {
  for (let pattern of patterns) {
    let re = new RegExp(pattern);
    if (re.test(href)) {
      return true;
    }
  }
  return false;
}
if (match(location.href)) {
  location.href = redirect;
}
window.addEventListener("popstate", () => {
  if (match(document.location.href)) {
    document.location.href = redirect;
  }
});
/* UserJS の設定
{
  "patterns": [
    "ここにアクセスしたくない URL の 正規表現を書く"
  ],
  "redirect": "https://twitter.com/kalaclista"
}
 */

また私は Twitter に限らず、不用意にクリックしたく無い要素については(このブログの広告とか)下記の UserScript を使って対応しています:

// ==UserScript==
// @name Disable selected elements on any website
// @version 0.2.0
// @namespace https://the.kalaclista.com
// @match https://*/*
// @match http://*/*
// @grant GM_getValue
// @run-at document-end
// @inject-into content
// ==/UserScript==
const hosts = GM_getValue("hosts");
const { hostname } = location;
if (
  typeof hosts[hostname] !== "undefined" &&
  hosts[hostname] instanceof Array
) {
  let el = document.createElement("style");
  el.textContent = `${hosts[hostname].join(
    ", ",
  )} { pointer-events: none !important; }`;
  document.querySelector("head").appendChild(el);
}
/* UserJS の設定
{
  "hosts": {
    "twitter.com": [
      "a[role='link'][href^='/hashtag/表現']",
      "a[role='link'][href^='/hashtag/LGBT']"
    ],
    "the.kalaclista.com": [
      "aside.ads",
      "aside.content__card--affiliate"
    ]
  }
}
*/

ここで紹介しているスクリプトなどは各自カスタマイズして使うと良いのでは?と思いますが、 とにかく uBlock Origin や UserScript で不用意に表示したりアクセスしたく無い情報を無理矢理消去すれば、 多少の不便と引き替えに穏やかな精神状態を取り戻せると思います。

なお uBlock Origin や UserScript をモバイル端末で使おうと思うと、 Android では Firefox Nightly か Iceraven Browser(Firefox Nightly の fork)を使い、 かつカスタムな Addon list を使う必要があるので、その点については注意が必要です(iOS については良く分からない)。

また上記設定やスクリプトで心理的安全性を確保する場合、モバイルの専用アプリは使ってはならない物の筆頭となるので、 Twitter などを専用アプリで閲覧している場合、それらのアプリはアンインストールしましょう。

ちなみに私の Twitter 閲覧環境は、nitter の出力を n8n で Atom Feed に加工し、 それを TT-RSS で見ると言うかなり特殊な環境で観ているので、 その辺りはいずれどこかで書けたらな、と考えています。

以上

と言う事をやって、私はネットや開発などで怒り狂うことをある程度は避けていますが、 これでも怒りの発露がすべて避けられているか、と言うとそうでもありません。

これは特に私の逆鱗ポイントだったりするんですが、 他人を蔑ろに扱う集団に対してはかなりの不快感と憤りを覚えますし、 また自分に対して攻撃的な態度で接し聴く耳を持たない連中には流石に怒ったりします。

また こう言った考えや行動の実行でも怒りが治まらない場合 に私がどうしているか、と言うと、 基本的には 処方されている頓服を飲んで、精神が落ち着くまで何も考えない様にして耐える 、 と言う事で対処しています。

特に私の場合、自身の感情に元づくイライラ感であっても、それが何もかも堪に触る状態となることがあり、 そう言う場合は頓服を飲んで落ち着くのを待つ、と言う行動を取っています。

それとイライラが爆発して癇癪を起してしまった場合、癇癪を起している事に対して癇癪が起きる、 と言う負のループが出来上がったりもするので、そう言った意味でも イライラは癇癪となる前に対処する、 と言うのが重要になるかと思います。

あと私事にはなりますが、私は昔酷い癇癪持ちでかつては気に入らない事があると自室にあるものへ当たり散らして物品を粉砕したり、 学校から脱走して家に帰ってきたりと言うことをやっていた人間です。(ちなみに自室の壁を蹴破って穴を開けたこともある)

とは言えそう言う人間であっても、今の自分を他人が見て『えっ、昔はそう言う感じだったの?』と驚かれたりする機会もあったので、 今回の考え方はそう言う癇癪を抑える手段としては参考になるのではないか、と個人的には感じています。 もっとも情熱とか野心、野望を燃やす人には向かない手段なんですけどね、その辺りは枯れてしまうんで。


と言うことで、@Windymelt さんの、

と言う記事を見て感じたことへの返事は以上です。

まー今でも癇癪持ちの片鱗は残ってたりもするんですが、 そう言う感じで今では大分落ち着いた人間になれたので、 今回の記事を参考にして頂ければ幸いかな、と思っています。はい。

にゃるら(カラクリスタ)

『輝かしい青春』なんて失かった人。
次に備えて待機中。

今は趣味でプログラミングをして
生活しています。