著作権を乱用すると著作物が滅びる
読了まで:約6分
特に何に対してって言うこともないのですが、最近、
- スクウェア・エニックスのハイスコアガールの事件
について、ネット上のニュースとかで話題をよく見かけるようになったので、その辺りを読んだ感想とか書きます。
とは言っても、今回の事件について、僕は内部事情とかさっぱり分からないし、あと、今回の件がどういう経緯で刑事告訴になるまで話がこじれたのかは分からないので、その辺りの評価はしませんが、今後、今回の事件の結末によっては、
パテント・トロール 成らぬ、 _ コピーライト・トロール_
が、発生してくるんじゃないか、とも感じたので、今日はその辺り書きます。
1. 著作権者の許可を得ていない二次創作の公開は、そもそも著作権侵害である
まあ今回のハイスコアガール事件については、
- そもそもスクエニ側に非があり
- それに対しスクエニ側が失点に失点を重ね、話がこじれにこじれた結果
- SNK プレイモア側が刑事告訴に至った
という認識でいるのですが、個人的には、
スクエニ側と SNK プレイモア側で、なんとか刑事事件としてではなく、民事の範囲で話を済ませられなかったのかなぁ……
と思わないでもないです。
というのも、基本的に、
海賊版 という文脈での著作権侵害案件
は、別に刑事事件で取り締まれば良いと思うんですが、今回の事件の様に、
二次創作 という文脈で、コトを刑事事件に持っていく
というのは、
下手を打つと、二次創作関連文化が滅びかねない
と個人的には思っています。
で、これはなんでか、って言うと、まあ簡単に言えば、世の中の二次創作、 特に二次創作同人誌とか、あるいは二次創作ゲーム等は、
- 著作権者の許可を得ておらず、現状、 著作権者の黙認だけで 成立している
という面が、多分にして有る、と思っていて、かつ、
- 現行法(2014 年 12 月 03 日現在)の著作権法では、 著作権者の許可を得ていない二次創作の公開は著作権侵害と見なされる
という現状があるからです。
で、現状では著作権者の許可を得ていない二次創作の公開は、 厳密 には著作権侵害なんですが、じゃあなんでこれが摘発されてないか、って言うと、これは著作権法において、
- 著作権侵害が、 親告罪 = 告発しないと罪に問えない
という仕様になっており、かつ、
- 著作権者が、 著作権侵害案件について、刑事告訴まで行っていない から
というのが大きな理由です。
まあ、著作権者側が、無許可に公開された二次創作を告訴しない理由については、
- 単純に告訴のコストを賠償金等で回収できない
か、あるいは、
- 無許可で公開された二次創作作品の創作者を訴えるとなると
- 自身が著作権を持つ著作物のファンを告訴することになり
- それはそれで色々マズイので、とりあえず黙認している
の、どちからだと思います。
ま、普通、二次創作、特に個人がやってる様なヤツだと、
ちょっとこれは行き過ぎでしょ?
という案件については、まあ著作権者側が警告を出して、それでその問題の有るヤツ引っ込めて謝罪して終わり、という感じで話は終わっていくんだと思いますが(というかそういう案件何回か見かけた事ある)、これが、
- 相手が商業出版社で
- かつ、警告を出しても無下にされたりして話がこじれると
- 今回のハイスコアガールの事件の様になるのではないか
と、僕は思います。
2. 著作権者が二次創作を訴えるのはよほどの事であり、これを乱用し乱発するのは、トロール的焼き畑農業である、と僕は思う。
で、今回のハイスコアガールの件は、まあ何度も言っているように、
- 話がこじれにこじれた結果
だと、僕は思っているし、かつ、事実もそのような感じだろう、と勝手に思っていますが、こういった著作権侵害案件、特に、二次創作関連だと、
- 著作権者が無許可で公開された二次創作を告訴する、という事態は
- 著作権者側にとって、よほど腹に据えかねた事が起きた結果であり
- 著作権者側にとっては、最終手段である
と思っていて、今回の様な事態になったのは、裏でよほどの見かねた事が有ったのだろう、と僕は見ています。
が、そういうのを全うと言うのも変だけれども、話が平行線に終わったか、あるいはよほど腹に据えかねた結果として刑事告訴になった、と言うのならば、
まあ、残念な結果になっちゃったなぁ……
で、話は終わるのですが、これがなんだろう、
- コトの軽微や規模に関係なく
- かつ事前の警告や注意もなしに
- いきなり刑事告訴や高額な賠償請求が伴う民事訴訟を起こす
と言うような事を集中してやっているような、
パテント・トロール成らぬ、コピーライツ・トロール
みたいな感じの事業者が、今回の件でにょきにょき生えて来たりすると、それはそれで 色々とマズい 、と僕は思っています。
というのも、日本の創作文化そのものが、先に言った、
見かねたヤツには警告だして、それ以外はとりあえず黙認しとこう
という状況に依存している面がある、と僕は感じていて、この前提が崩れてきて、
- 日本の創作文化周りの著作権者が、
- アメリカ社会に代表される、訴訟社会的な有り方に成ってしまうと、
- それはもはや創作文化を焼き払う、過剰な焼き畑農業でしかない
とも思うんですよね。
で、まあ僕は一応、
- 自分が出す創作物については一次創作を心がけ
- かつ二次創作については、ガイドライン等を明示されていないモノには手を出さない、という
- なるべく一次創作を心がける、という創作ポリシー
を持っていたりもするんですが、だからと言って完全なオリジナルオンリー指向か、っていうとそれも違うし、同人誌とかも二次創作モノは普通に買ってたりするんで、そういった意味では、
- 日本の二次創作文化に対する、ある種の法整備
は必要なのではないかなぁ、と思っています。
で、次で最後。
3. 著作権は、創作を含む文化の発展の寄与を目的として創設されているのであり、これは決して、一部の著作権者だけを潤すためだけの権利ではない
と僕は思います。
というか今もそうなのかは分かりませんが、いっときのリッピング違法化も含め、日本の著作権法の改正は、
- 一部の著作権者の懐を潤すために、大多数の著作物の利用者が割を食うような改正になっている
と僕は感じていて、もうそろそろ、
- 文化の発展にとって有害となりうる、過剰な著作権強化
は、止めて欲しいなぁ、と思っています。
で、著作権の過剰な強化が進んだりすると、それを餌にトロールを行うヤツが必ず出てくると思うので、その辺りの、
- コピーライツ・トロールを抑制する方向での法整備
とかも今後の政治に期待したいんですが、いかんせん自民党は色々とアレだし、かといってカウンターとなる野党もぱっとしないし、で、なんとかならんのですかね、あのクソみたいな三流政治は。
で、なんだ話がズレたけど、最初のハイスコアガールの事件に戻ると、今回の刑事案件、お互い引くところは引いて、あとは示談とかで終わらせられないのかなぁ、と思っています。
というのも、今回の件で一番割食ったのは、多分、そんな話聞いてないよ!っていう作者の方だろうし、あとプレイモアにしたって、スクエニの対応編集部がクソ対応さえしなければ、自社が著作権を持つ作品に対する、ある種のファン作品に対して刑事告訴とかしなかっただろう、とは思うんですよね。なんでまあ、その辺り、納められる範囲で、矛は仕舞えないのだろうか、と思ってますね。個人的には。
あと、今回の刑事告訴の結果いかんでは、下手を打つと、
- 日本の二次創作文化にとって、非常に悪影響を及ぼす可能性がある
と僕は思うので、その辺り気掛かりではあります。
で、僕としては、そういう文化の発展の阻害の事例に成りかねない、という意味で、スクエニの編集部は何やらかしてくれたんだ……と思いますね。
てか、ファンアート作品で出版社と作者が刑事告訴って相当な事がないと起きえないはずだし、こともあろうに刑事告訴っていうの、作者もファンも得しないし、かつプレイモア社もかつてのファンを告訴している、という点では、ちょっと微妙かなーとは思わないでもないです。はい。
という事で本日は以上です。
なんかだらだらと書いてしまいましたが、とりあえず、今回の事件が、無事って言ったら変だけど、穏当なところに落ち着いてくれると良いなぁと、部外者ながら思ってます。
以上本日の雑文でした。かしこ。
#FIXME