今月の一日から、著作権を侵害する動画や音楽のダウンロードに刑事罰則が付き、 YouTube とかニコ動とかで権利的にびみょい動画を見るのは違法とか違法ではないとか、 色々と情報が錯綜してますが、今日は、
何故人々は海賊版に手を出すのか
について語りたいと思います。
人々が海賊版に手を出す立った三つの本当の理由
僕が考えるに、何故、人々が海賊版に手を出すのか、という理由は、 突き詰めれば立った三つしか無いと思ってます。
その三つとは、
- コンテンツが手に入らない
- コンテンツに払う金がない
- コンテンツに金を払う気がない
の三点。
はっきり言って、どう言い繕うが、海賊版が出回る理由は、 この三つしかないと僕は思ってます。
なんで、次はこの三点を順番に解説していきます。
理由一: コンテンツが手に入らない
これは主に、コンテンツを手に入れたいのに、 コンテンツのモノが何らかの理由で手に入らないがため、 海賊版を入手せざるを得ない、という状況です。
これはどういう状況に該当するかというと、 例えば限定版で提供された限定版コンテンツを買い逃したとか、 あるいは、アニメとかで放送を見逃した or 録画し損ねたとか、 そういうのが状況として該当します。
例えば限定版だと、
- 限定版のクリック戦争に破れ買えなかった
- 限定版に気づくのが遅れ、限定版を買い逃した
- 同人ゲームとか同人誌がとっくに品切れでもう入手する方法がない
という状況下で、
- 限定版のコンテンツをどうしても見たい!
- 俺はあの作品のコンテンツが気になってしょうがない!
- 俺はあの作品のコンテンツを入手するなら、どんな手を使っても構わない!
という風になると、人々は海賊版に手を出す理由となり得ます。
また、アニメとかを見逃した! とか、録画し損ねた!とかだと、
- 見逃した回を見るのに、何ヶ月も先のパッケージ版を待たなきゃ見れない
- 公式配信で見ようにも、配信は一週間ぐらい先
- 放送時とパッケージ時で、内容が若干違って見比べたい!
- そもそもパッケージ化も無く、公式配信も無い。人生は無情である。
というような理由でも、海賊版に手を出す理由には十分なり得ます。
で、上記をまとめると、要するに、
- 入手したいコンテンツ が
- 海賊版 で 手に入れるしか方法がない
ない場合に、人々が海賊版に手を出す、ということです。
理由二: コンテンツに払う金がない
これは経済的な理由で、例えば、
- 日々の生活でカツカツで、アニメパッケージなんて高くて買えないよ!
- 学生で小遣い少ないのに、ゲームとか買ってたら他のコトに金が使えない!
- アニメとかゲームとか好きだけど、なんだ、その、とても、高いです……
という様な理由で、コンテンツに払う金が無いとき、 人々は海賊版でそれを済まそう、というインセンティブが働きます。
ぶっちゃけて言えば、月一万ぐらいの小遣いもらってても、 月に買えるゲームやアニメは、一本か、多くても二本ぐらいなもんで、 欲しいモノが増えてくる中学生や高校生、あるいは、 リア充するのに金がいる大学生とかは、コンテンツに金をかける余裕がありません。
そういった、
- コンテンツは欲しい
- けど、 金が無い !
という状況で、人々は海賊版に手を出す、という風に僕が思います。
理由三: コンテンツに金を払う気がない
上記の理由ともちょっと関連しますが、コンテンツ消費者が、
コンテンツに金なんて払えるかよ!バーカバーカ!
という風に考えていて、かつ、
つこうたたのしいれす\(^q^)/
とか考えている人だと、容易に海賊版に手を出すと思います。
反海賊版対策
理由一: コンテンツが手に入らないへの対策
まず、理由一の コンテンツが手に入らない に関しては、 コンテンツを合法ルートで入手しやすくすれば、 ある程度は改善すると思います。
コンテンツが欲しいけど、手に入らない という状況下で海賊版に、
って人のうち、
- 金はある
- 金を払う気はある
- けど、モノがない!
- だったら海賊版で……
という感じの人の場合、この けど、モノがない! を解決すれば、 ある程度は海賊版の流通を防げます。
例えばこれは限定版商法やめる、とか、あるいは、 公式配信を放映時と同時にして、公式配信期間も長めに設定する、 とか、そういったコトで対策できます。
というか、 モノが無いから海賊版 に、っていう状況は、 コンテンツ提供者側に、ある程度の原因があります。
なんで、 モノが無くて海賊版が出回った 、みたいなのに関しては、 コンテンツ提供側に一部責任がある、と僕は思います。
理由二: コンテンツに払う金がないの対策
これは対策できる項目が限られていて、提供者側ができる対策としては、
- コンテンツの値段を下げ、買いやすくする
ぐらいしかありません。が、アニメとかのパッケージ商法だと、 値段を下げると利益を回収できない、とかなるらしいので、 非常にびみょいです。
また 金が無い という状況を改善するには、どっかから金を調達する、 ということが必要になりますが、これは学生とかだとバイトをする、とか、 あるいは、親に交渉してお小遣い増やしてもらう、とか、 あるいは中学生とかなら、祖父母に甘えてみる、とかできますが、 社会人で、正社員にもなれず、非正規で身分も不安定、 仕事はきつく、手取りは少ない、とかだと、政府とか行政に、 適切な景気改善対策してもらわないとどうしようもありません。
で、今(2012 年 10 月)の政治状況を見てると、 民主党は劣化自民党よりひどい有様だし、自民党は自民党で、 国民に対し誠実な石破氏を差し置いて健康リスクのある安倍を選んでるし、 維新の会はなんか落ち目になりつつあるし、その他色々はもう当てにならんしで、 なんで日本は三流国家みたいな政治しかできんのだ、みたいな状況なので、 ことさら政府、行政には当てになりません。
んで、コンテンツを消費する層、というのは、収入の少ない若い世代が多いのに、 金を溜め込んでばっかりの老人ばっかりに年金やらで金かけてるのが現状で、 若い世代に金が回ってこないわけで、それが改善されない限り、
金が無いが故に海賊版に手を出す 、みたいなのは、改善できないと僕は思います。
理由三: コンテンツに金を払う気がないの対策
これはもうそう簡単には対策できません。
なんでか、っていうと、コンテンツに金払う気が無い人は、 最後まで金を払う気になどならず、客になり得ないからです。
で、これは海賊版消費者が、海賊版を消費しにくくする、 という対策以外、とれる対策がありません。
で、これに対し有効な対策というのは、
- コンテンツにプロテクトを掛ける
- コンテンツをデジタライズ困難にする
- 法改正で海賊版厳罰化
ぐらいだと思います。
が、僕個人としては、今月に施行された、 一部の著作権侵害コンテンツのダウンロードに対する刑事罰付与、 みたいなのは、悪手だと思ってます。
この際だから言いますが、このまま著作権保護強化と、 著作権侵害厳罰化を突き詰めて行って、
がなされた場合、
- コミケの非公式二次創作全般の頒布
- 同人ショップに非公式二次創作を卸す行為
- pixiv 等のイラスト投稿サイトへの非公式二次創作の投稿
- 転載系 Tumblr や 2ch まとめの閲覧
- Nyan Cat とか MAD 動画みたいな非公式マッシュアップの公開
- その他色々な非公式二次創作の公開やダウンロード
みたいなのが、 すべて犯罪 となります。
で、今の日本のコンテンツ文化を支えている、二次創作文化の維持が、 超厳罰化著作権法により維持困難となれば、日本のコンテンツ市場は、
ペンペン草の一本も生えない、永久不毛の地
に成りかねないと僕は思います。
っていうか、アニメとかでも他の作品のリスペクトとか普通にやってますし、 供給多寡になってるイラストレーターとか漫画家も、 最初のうちは非公式二次創作とかで名を馳せてから、 お仕事の声がかかったりとかが普通にあったり、 僕のメインフィールドである Web プログラミングや Web サービス開発でも、 ○○ の互換ライブラリを作ったり、 あるいは ○○ 互換 API を持つ Web サービスとか普通に作り合ったり、 あるいは優れた UI はお互いにパクリあったりとか、 ○○ 風 UI を作るなんとかライブラリとか普通に開発されてるので、 そういった、お互いに持ちつ持たれつみたいな関係性が、 ちょっとした著作権侵害という理由で断ち切られたりすると、 これはもう文化に発展にとって大損害なワケです。
で、 著作権者団体 とかは 著作権保護ガー とかほざいてますが、 著作権法が何故あるか、というと、これは 文化の健全な発展のため にある訳で、 著作権者の利益保護がメインの目的ではないわけです。
なのに、クソ政治家どもは著作権保護というより、
著作権者利益保護 みたいな法改正をしてるので、
これはもうお前らみたいなクソがくぁ w せ drftgy ふじこ(ry
失礼。かみまみた。
で、ちょっと前に紹介した、
- コンテンツにプロテクトを掛ける
- コンテンツをデジタライズ困難にする
に関して説明すると、1 のプロテクトを掛けるというのはもうそのまんまで、 例えば電子書籍なりなら DRM 掛けるとか、 あるいはゲームなら Alpha-ROM でリッピング困難にする、とかです。
ただ、これはうまくプロテクトを掛けないとコンテンツ利用が不自由になりますし、 またゲーム(特に PC 向け)とかのプロテクトは、ゴバ-クすると、 正規購入者なのにゲームができないとかなるので、 これはこれである程度リスクがあります。
で、次のデジタライズ困難にする、というのは、ある意味最強のプロテクトで、 文字通り、そのコンテンツをデジタライズ困難にする方法です。
例えば同人誌とかだと、本を解体スキャン困難な大きさにするとか、 あるいは飛び出す絵本みたいなギミック付ける、 他に映像媒体ならアホみたいに高画質化してデータ量を超ビッグにする、 ゲームならば普通の PC 等の機器で読み込めないよう、 ゲームコンンテンツの記録媒体を専用媒体にして技術的にリッピング不可にする、 とかのコトです。
また、元からデジタルなコンテンツに関しても、iOS や Android の様に、 アプリのダウンロードは専用ストアかつ専用デバイスでしか行えないようにする、 等すれば、海賊版の流通は結構防げると思います。
が、元なデジタルなコンテンツは、技術的困難にした技術障壁が突破されると、 とたん脆弱になる、という面がないわけではないので、 その辺りは善かれ悪かれですが。
まとめとかそのあたり
前々から思ってるコトですが、僕はもう、コンテンツ業界は、 海賊版が出回る前提のビジネスモデルを構築するべきではないか、 と考えています。
っていうか、海賊版が出回ると成り立たなくなるビジネスモデルを、 いつまでもいつまでも続けているのは、 もう経営がアホなんじゃないかと僕は思う。
無論、海賊版が出回っても成り立つビジネスモデルを考えるのは楽じゃないし、 海賊版が出回り難くする対策も、 コンテンツ利用者が不利益を被らない形にしようとすると、 難しい面があるのは分かるけど、 それでももうそろそろ海賊版に怯えない、海賊場に強いビジネスモデルを考えないと、 もう今後の情報化社会では生き残れないんじゃないの? とか思います。
例えば海外の一部の音楽アーティストなんかは、自分の楽曲をタダでばらまいて、 コンサート等で利益を回収する、というビジネスモデルを構築しつつある訳で。
僕は今回みたいな、法での締め付けで著作権者の利益を保護するのではなく、 コンテンツ提供側が、新しいビジネスモデルで利益を出せるよう、 各社競争し洗練させて行く、という方向の方が、 今後の文化発展の意味でも健全なんじゃないかなーと思います。
なんか色々話が飛んだ気がしますが、僕が今日言いたかったコトはこんな感じです。
とりあえず今日の所は、いじょ。