本当にそれでいいのか? - 人間はガジェットではない

読了まで:約4分


概要: インターネットを含め、私たちを包む情報社会のあり方はこのままでいいのか?


いつぞやに買ったかはもう覚えていないものの、電車での移動時間等に読んでいて、 読み進めれば読みすすめるほど、考えさせられた一冊が、 本書――です。

この本はどんな本?

本書、は、

バーチャルリアリティ の父とも呼ばれている、ジャロン・ラニアーの書いた、インターネットを含め、

現状の情報社会の構造について、疑問を投げかけている一冊です。

本書の中で、ラニアー氏は、今のシリコンバレーのあり方や、 若いネットユーザー達が信奉しているとも言える考え方――不特定多数の集団が、一つの人格として活動する ――という考え方を、 サイバネティック全体主義 と読んで批判しています。

いや、本書で言われているのは、批判、というよりも、

本当にそのあり方でいいのか?

という問いかけの発信、と言ったほうがより正確かもしれません。

また、本書内では、僕も含めてですが、現在の Twitter とか Facebook、mixi 等の SNS にハマる人々の あまりにも軽い following-follower 関係を、 友達の安売り と述べ、 友達関係を安売りして自分を貶めるのはやめないか? とも語りかけています。

それ以外にも、今のコンピューター社会を縛る、様々なフォーマットやプロトコルに関しても、

それは見直すべきではないのか?  と問いかけています。

まあ本書を一言で言い表すならば、それは今のインターネットを含むコンピューター社会に対して、

本当にそれでいいのか?

と問いかけ、

いや、それはそのままでは良くない、今ならまだ間に合う。

と呼びかけている一冊だと思います。

この本を読んだ感想

それで、この本を読んだ感想。

まず、最初はちょっと読みづらかった。 翻訳書だから、というのもあるかと思いますが、著者の言いたい事がうまく飲み込めず、 消化不良を起こしていた、というのが正直なところです。

もっともそれは前半部分の話の事で、後半になるにつれ、著者の言いたいことが飲み込めてきて、 陳腐な言い方になりますが、刺激に富んだ、大変面白い一冊であるように感じました。

また、本書が言葉を変えて何度も問いかけている、 本当にそのあり方でいいのか? という問に、ハッとし、自分はコンピューターに合わせて、自分を貶めているのではないか? という事に対して、確かにそうかもしれない、という風にも感じました。

例えば Twitter はまだいいとして、Facebook や mixi と言った SNS で、 友達百人と言えば聞こえはいいですが、フレンドのマイミクの大量相互登録について、 自分(との友達関係を)安売りしている、という著者の指摘について、 自分もそういう傾向が確かにあった、と感じました。

まあ最も僕ば mixi のマイミクはひとりだし、Facebook のフレンドに関しても、 基本的に両手で数えるほどしかいないんですが、それでも自分の安売りという側面は否定できませんでした。

まあそれで、mixi や Facebook をやめようかとも考えたんですが、 mixi はいいとして Facebook は profile widgets や、いいねボタンを使っている加減で、 それは面倒になることが多そうだ、ということで、今のところそれには踏み込んでいません。

が、もしそれらが解決できるのであれば、自分の安売りをやめる、 という点で、mixi や facebook といったサービスの利用をやめる、 というのも検討の一つとして考えています。

まあ、本書を読んで、今まで自分が無邪気に受け入れていた、 今のネット社会の考え方について、深く考え直させられた、 という感じです。

この本がオススメな人

本書は、

  • 今のネット社会のあり方に違和感を持ってる人
  • 今のネット社会にどっぷり頭まで使ってる人
  • ネット社会に関する言説について興味がある人

あたりの人にオススメできるんじゃないかと思います。

ただ、ネット社会のあり方について、著者が サイバネティック全体主義 と呼んでいる考え方を信奉していたり、 あるいはそれに近い考え方をしている人に関しては、最初、本書の主張は受け入れ難いかもしれません。

現に僕は最初、本書を呼んで消化不良をおこしていました。 まあ全体を読んで考え方をちょっと見直した今であれば、もう一度本書を読めば、 消化不良を起こした最初の方も、何を言いたいのかがわかるかもしれません。

まあそんな感じで、なかなか消化しにくい一冊ではあるものの、 本書は一読に値する一冊ではないかと思います。

以上終了。以下感想

というわけで、久しぶりに書評もどきというか、本のレビューを書いてみました。

いや本当、前のレビューは読んだら書かなければならない、 みたいな感じで書いててやり始めに息切れしたんですが、 本書は僕が心の底から紹介したいなーと思った一冊です。

まあ僕の拙い文章で本書の言いたいことが伝わるかと言えば、 それは否ではないか、とも思うんですが、本書から伝わってくる、

本当にそれでいいのか?

強烈なメッセージは、誰が読んでも伝わってくるのではないか、 と思います。

まあ興味が湧いたら、一回購入して読んで見てください。 今のインターネットを含むコンピューター社会においての、 自分のあり方について、考え直させられる、一つのきっかけになるかもしれません。

#FIXME

にゃるら(カラクリスタ)

『輝かしい青春』なんて失かった人。
次に備えて待機中。

今は趣味でプログラミングをして
生活しています。