表現規制問題の今と昔 - マンガはなぜ規制されるのか

表現規制問題の今と昔を知るには最適な一冊でした。


先日、というか昨日名古屋の三省堂書店にいったんですが、そのとき新書あさりをしていたときに見つけて、タイトルに惹かれて購入した一冊が、本書、です。

今はもう表現規制問題の2chの関連スレなぞ一つも見ていませんが、昔はニュース議論の大谷スレとかに入り浸っていて、今でも表現規制問題は気にかかる問題なので、本書を購入した次第。

ということで、今回は昨日買った本書を紹介したいとともいます。

この本はどんな本?

本書、 マンガはなぜ規制されるのか は、昨今の表現規制の流れと、昔に起きた表現規制問題――悪書追放運動とか――を、 歴史の流れにそって一通りまとめた一冊です。

最初はつい最近に起きた、東京都の 非実在青少年 問題が取り上げられていて、その後は、悪書追放運動の時代から、80年代、90年代、2000年以降、という感じで、表現規制の歴史をたどっています。

本書の著者は1962年生まれ(本書P14から)らしいので、50年代から80年代前までは、資料を基に内容が構成されており、また80年代以降は著者の体験を基に本書が構成されています。

それで本書はあくまで 表現規制問題 に絞られて構成されているため、剽窃等の問題は一切取り上げられていません。

あと本書は資料的なものかな、とか思ったんですが、確かに資料的に書かれている部分もありますが、本書で取り上げられている様々なことを記す際に、著者の視点からの意見が紛れ込んでいるというか、あくまで 表現規制反対 の立場で書かれていることが多々あるので、純粋な資料としてはちょっと使いづらいかと思います。

もっとも、表現規制問題の昨今が広く浅くまとまっているので、表現規制問題の今と昔の流れを知る、という点では参考になるかと思います。

この本を読んだ感想

ということで、本書を読んだ感想を。

まず、現在の表現規制問題は、出版とかおたくとか、いわゆる一部の人が熱心に取り組んでる問題、という風に見られがちだと思うんですが、昔の悪書追放運動とかは、全国民レベルで行われていた事を知って、昔の方が苦境に立たされていたんだなぁと思った次第です。

まあ昔の悪書追放運動は苛烈だったものの、出版社等も気骨を持ってそれに対抗していて、最悪の結果にはならなかった、という感じなんですが、最近、特に1990年代から2000年代以降に関しては、

出版社弱腰すぎじゃね?

と思いました。だって、アレですよ? 東京都が規制をやりたい放題していて、それを大した抵抗もせずに 自主規制するから見逃してください>< みたいなことをしてたらしいんですが、それで東京都が止まるはずもなく、どんどん自主規制が増えていって、挙句の果てにはその自主規制が東京都の規制の前提となっている始末なんですよ?これはもう最初の一歩を間違って踏み出したものとしか思えません。

もっとも最近でもエロ本などを出している会社は、ある程度の気骨を持って規制に対抗しているところもあるので、その点は評価できるかとおもいますが、それでもそういった企業は中小企業だったりするので、抵抗勢力としては小さなものなのが難点だと思います。

それで、今でこそ規制の最前線になっている東京都ですが、昔は規制に大してかなり慎重で、青少年条例を作るのも抵抗があった、というのはかなり意外でした。その良識ある対応をしていた東京都が、今では規制派の跋扈する最前線になってるのは哀しいことです。

それで、本書ではいわゆる 表現規制派 についても記されているんですが、この 規制派 、昔は が中心となって行われていたようなんですが、それが何時の間にやら 警察 とか 行政 とか 宗教団体 が音頭を取り、 が後から付いてくる、という形になっているらしく、どうしてこうなった!? どうしてこうなった!? という感じでした。

まあさあ、俺が思うに何でこう

  • 表現の自由
  • 言論の自由
  • 出版の自由

を蔑ろにする人が後を絶たないのが不思議でたまらないんですが、みんなそんなに 民主主義国家がいや なのか理解ができません。だって、 表現の自由とかって、民主主義の根幹 ですよ?

今でこそ 表現規制 というと、 性表現の規制 が中心ですが、戦前のエロ・グロ・ナンセンス規制から始まった言論統制の歴史を鑑みるに、 性表現 が根絶されてしまったら、今度は間違いなく 暴力表現 とか、 過激表現 がターゲットになって、最終的には 政治表現 になるんじゃないかと思うわけです。

政治的表現の自由 が許されない社会ってのは、もう思いっきり戦前回帰なわけで、今の規制派はそれを目指してるの? と勘繰りたくなります。

もっとも、想像したくはないですが、 政治的表現の自由 が規制されるという段階になるには、あと数十年はかかるんじゃないかと思うんで、まだそこまで行くのには猶予があるとは思いますが。

ただ、表現規制の最前線である 性表現の規制 はもう有る程度行き着くところまで行き着いてしまっていて、警察や行政が、なんで更なる規制を求めているのかが理解できません。今 性表現 はかなり不自由になっていて、実際の規制の実態も、警察と行政のさじ加減になっているわけで、それでもなお規制を求める、というのは、これはもう 表現の自由を亡き者にしようとしている と思いたくもなります。

まあ長くなったんでもうそろそろ切り上げますが、本書を読んでそんなことを思いました。

この本をオススメできる人

  1. 表現規制問題に関心がある人
  2. 表現規制問題の歴史を知りたい人

辺りには、本書はオススメできるんじゃないかと思います。特に表現規制問題の歴史を知るには大変便利な一冊じゃないかと思います。

というわけで

以上で本書、

の紹介を終えたいと思います。

なんか感想が表現規制問題に対して思ってることぶちまけたような感じになってますが、あんまり気にしないでください。

あと本書は表現規制問題の流れを知るには最適な一冊だとは思いますが、じゃあ実際に表現規制問題に対抗するにはどうしたらいいの? みたいなことは 一切 触れられていないので、表現規制問題の学習には役立つと思いますが、実際に運動のノウハウを得る、という用途には使えないと思います。

まあそうは言っても、表現規制問題の流れを知るには最適な一冊なので、表現規制問題について関心がある人は、一度本書を購入してみるのも手ではないでしょうか。

#書評 #表現規制問題 #悪書追放運動 - #2010-11 #2010-11-24

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